第1回 くれない忌 2013年10月6日 宝塚市西公民館・ホール
ー世界の「GITAI」と元永定正の芸術ー
第一部(13:30~14:00)
1.あの人に会いたい・元永定正
2.発起人挨拶 安藤忠雄(建築家)
3.基調講演「アクションからファニーへ」
木村重信(兵庫県立美術館名誉館長)
第二部(14:50~16:30)
4.鼎談「世界のGUTAIと元永定正」
松谷武判(現代美術家)
今井祝雄(現代美術家)
河﨑晃一(甲南女子大学教授)
中辻悦子(故元永定正夫人/美術家)
発起人:安藤忠雄 河﨑晃一 川辺雅美 木村重信 坂上義太郎 谷川俊太郎 中川智子
西村貞一 平井章一 松谷武判 蓑豊 毛利伊知郎 レイコ・クルック(50音順)
ご挨拶
50年前、神戸元町の「蛸の壺」で元永さんに初めてお会いしました。
大きな体を折るように、カウンターに座っておられました。私の顔を見て開口一番、「お、鋭い目をしとるな。四角い顔をしとるな。」とおっしゃったのを覚えています。
”もーやん”のユーモア溢れる語り口は、最後まで変わりませんでした。
1940年代後半、ジャクソン・ポロックが、額縁を超えて新しい世界を切り開いていこうとしたように、同時代に具体美術協会もまた、独自の世界を開拓しました。その中で、人間・元永定正そのままの優しく包み込まれるような表現は、見るものにほほ笑みと安らぎを与えてくれました。
私の設計した兵庫県立子どもの館や県立美術館では一緒に楽しく仕事をさせて頂きました。硬質で冷たい印象を与えるはこ(展示空間)の中に、元永さんの温かく柔らかい作品が置かれることで、一気に場が和らぎ、なごみあるものになりました。
人格は後ろ姿に現れると言いますが、元永さんの背中は、いつも大きく、優しかったと思います。
今の子どもたちは、朝から晩まで塾や習い事で自由を奪われ、自分で表現することなど無く、がちがちに固まってしまっています。 そんな彼らに柔軟な精神を育ませる上で、優しく包み込まれるような元永さんの作品は、 ますます必要になってくると思います。
終生、子どもの心と魂を持ち続けておられた元永さん、100歳まで張って頂かなければと思っていたのに、お別れしなければならなくなった
のが残念でなりません。
2013年10月6日
発起人を代表して 安藤忠雄